ベトナム、カンボジア、タイの旅はたやすい。
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 まずカネの心配がない。今回は2ヵ月と1週間滞在して、かかった費用は、宿泊費を含め15万円。1日2千円程度で済んだことになる。これは3カ国内の移動費も含んでいる。
  

 これに往きの航空券が4万6千円。10日間FIXの往復航空券だったけど、復路は捨てた。旅行会社によっては、こういう使い方を禁ずるところもあるが、往復より片道の方が高い航空界の仕組みの方がおかしい! それに復路を使わないからといって誰に迷惑をかけるわけでもない。帰りはバンコクで手配して4万4千円。さらに札幌―東京間の航空券と東京での前後泊ホテル費用もろもろが、計4万円くらい。
  

 タイで出会った日本人の男は、ここ10年間ほど毎年3ヵ月間をネパールで暮らす。山が好きで、40歳代に脱サラしネパール通いを始めた。
 彼によると、最低3ヵ月間は滞在しないと「元が取れない」。それより短い滞在だと、往復の飛行機代などを計算すれば、じっと日本で生活していた方が安く済む。3ヵ月間を生活費の安いネパールで暮らすと、渡航費も含めた一切の費用が日本の生活の3ヵ月間とほぼ同じになるそうだ。
「正直なところ、2ヵ月間もネパールにいると、日本に帰りたくなる。でも、それで帰ったら、元が取れないので、あと1ヵ月間頑張っている」
 2ヵ月間で日本が恋しくなるかどうかはともかく、この物価の安い東南アジアなら、3ヵ月間も滞在すれば、日本での生活費とちょんちょんになる、という話。私の短い体験でも、そんなもんかもな、と思う。
  

 ひとは「そんなにケチケチしてまで旅行なんかしたくない」と言うかもしれない。それも結構。おおいにカネを使って、貧乏な東南アジアの経済に貢献するのも、金持ちニッポン人の義務かもしれない。
 考えてみれば、日本人や欧米人がこの地域で安く旅行を出来たり、豪遊できるのは、円やユーロ、ドルが現地通貨に比べて、格段に力が強いからだけである。もともとわれわれ個人が威張れた話じゃない。なんという不合理、労働に対する正当な対価とは言い難い、なんだかバクチかなんかでもうけた、あぶく銭のような俺のカネ(円)。彼らが1日数$の給料で、早朝から夜遅くまで住み込みで働く姿を見るたびに、内心忸怩たるものがある。
 同じ100円でも、日本ならミネラルウォーターの小瓶1本も買えないが、東南アジアなら5~6本買える、といった具合。「女の値段」なら、もっと顕著な差があるらしい。

    
 

 ともかく、こちらは貧乏(性)だから、できるだけカネをかけない旅に徹することにする。
 その貧乏旅行が、カネのかかる旅行会社の出来合いツアーなんかより、ずっーと面白い。負け惜しみかもしれないけれど。

 

 少ない費用で済む条件は、ゆっくりと時間をかけること。少々の体力と、衛生に対する鈍感さも必要だ。カタコト英語も、出来た方が旅行代理店や宿とのやりとりが楽。もっとも、相手もほとんど英語を解さないから、使う言葉も「ルーム」「ハウマッチ」程度のもの。英会話なんぞからっきしでも、なんとかなる。
  

 今回の行程(宿泊場所)は
[ベトナム] 1月11日サイゴン→14日カントー→17日サイゴン→21日カントー22日チャオドック→
[カンボジア] 23日プノンペン→2月1日シアヌークビル→7日プノンペン→8日カンポンチャム→9日プノンペン→10日シェムリアップ→20日ポイペット→
[タイ] 21日アランヤプラテート→25日バンコク→27日ピサノロー→28日スコータイ→29日チェンマイ→3月4日チェンライ→6日チェンセン→7日チェンコン→8日チェンセン→13日アユタヤ→15日バンコク→17日バンコク発

   
 

 前もって立てた計画は、1月11日にサイゴンに行くことだけで、あとは着いた所で次の行動を決めた。宿泊場所も当地に着いてから探した。そのために次の目的地には、出来るだけ午後4時前には着くようにした。山歩きと同じで、早めに目的地に着き、ねぐらを確保する。日暮れまで2時間もあれば、なんとか宿くらい見つけることができる。
 宿はもっぱらゲストハウスを利用した。たいがいの町にゲストハウスがある。サイゴンは1泊15~20$と高いが、他は3~12$。平均すると6~7$。どうしても安宿が見つからなければ、ホテルに駆け込めばいい。20~30$で立派なホテルに泊まれる。結局ホテルを利用したのは、1度だけ、18$くらいだった。

  

 

 ガイドブックは持たない。その代わり本屋で、ちゃんとした地図を買った。現地のツーリスト・インフォメーション・センターから無料の観光ガイドブックをもらったり、ゲストハウスに置いてあった日本語ガイドブックに目を通したことはあったが、こうしたガイドブック頼りで行った宿も観光地も、ガイジン観光客ばっかり、あるいは日本人ばっかりだったりして、ゲンナリ・・・
  

 宿も食堂も、現地の人たちが利用する場所が、安くて条件が比較的いい、というのが私の持論(というほどエラソーなものでもないが)。これは国内を旅行する時とおんなじだ。現地の人々が食う食堂が安くてうまい。出費を厭わない人の場合なら、話は別ですけど。こちとらには無縁。