片山一道著「古人骨は生きている」の中で、著者がちょっとした疑問を発している。

 英語のskeletonize(直訳は骨にする。「概略を記す」の意)は、日本語ではちょうど「骨子を説明する」に当たる。「果たして偶然のなせるわざであろうか」

 「概略を説明する」の意に日英がそろって「骨」を用いているのは、偶然に過ぎるのじゃないか(とアタシも思う)。肉体の中にあって目に見えない骨なんかより、似たものでは樹木の幹の方がなんとなく適当だと思うし、全体を大まかに見るという意味でなら風呂敷に包んだ形で全体を表す方が適切じゃなかろうか。「大風呂敷につつんで見る」とか・・じゃ変か?

 実を言うと、日本語には外国語(特に英語)を直訳したような表現が、日常語としてたくさん使われていることに、以前から疑問に思っていた。

    bullet train(弾丸列車)、add fuel to the fire(火に油を注ぐ)、cold(心が冷たい、よそよそしいの意で)、put~on ice(凍結する、事案を保留するの意)、be on thin ice(薄氷を踏む、危険な場面に臨む意)、be up in the air(物事が宙に浮く)、recharge one’s battery(充電する、元気を回復するの意)、lend me a hand(手を貸す)、gathering dust(ほこりをかぶっている、使用していないの意)、we lick your team(いちころさ)のlick(なめる、頭から馬鹿にしてかかるの意)、shit(くそっ、罵声)、big mouth(大口をたたく)、avoir bon nez(鼻が利く、仏語の直訳はよい鼻を持つ)、Tu es un homme(お前は男の中の男だ!男らしい男の意)、la vie en rose(バラ色の人生)。

   その他、hot spring(英)sources chaude(仏)が温泉。dream(英)reve(仏)が、寝ていて見る夢の他に、将来の希望を表すときの「夢」にも使われる。まだまだあるのじゃなかろーか。

   いずれも、あまりにピッタシカンカン、直訳なように感じる。オリジナルな日本語から欧米に輸出されたとは思えないから、外国語から日本に輸入されたのではないだろうか?それは西欧の思想や物が大量に輸入され、翻訳され言い換えられた明治期では?・・・多分。

   それともそれ以前から「鼻が利く」とか「骨子」「二十歳の夢」「なめるなよ」「大口をたたくヤツ」「くそったれ!」なんて表現が日本語の中にあったのかしらん?たんに偶然の一致、類似なのだろーか?

   分かる人がいたら教えて!

 追記 ネットで語源辞典を調べたら、「薄氷を踏む」は中国に出典があるらしい。be on thin ice(薄氷を踏む、危険な場面に臨む意)は東西の偶然の一致かもしれない。